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【かえる場所は此処】

貴女と土に還るお話。



 疲れた。
 ただそう思った。目の前には女の骸が転がっている。先ほどまで笑っていたその顔は、何故だか血塗れの胴体の向こうに転がって私を睨んでいた。
 仕方ないじゃないか。そんな顔したって。私が殺したくて殺したわけじゃない。貴女から殺してくれって、私に頼んだんじゃないか。お願いだからそんな目で私を見ないでよ。

 私は重い体を引きずるように、彼女の首へと手を伸ばし丁度抱きしめるようにその顔を自身の胸へ押し付けた。彼女に対しては同志以上の感情を抱いていたわけではないが、その顔が目が苦痛に満ちたそれらが私を見ているという状況に耐えられなかったのだ。
 そうして私は首を抱いたまま彼女の胴体の元へしゃがみ込んだ。そしてふと、頭と体ではどちらが本体なのだろうか、と考えた。
 



 そうして一体どれほどの時が経っただろうか。
 暗い戦場には私と彼女とそして死体しか見られなかった。本陣のある方向からはおびただしい黒煙が上がっていた。ああ、私の帰る場所はもう無いのだ。帰らなくても良いのなら動く必要もあるまい。立ち上がるどころか指一本、動かなかった。



  動くことはない。私の還るところは。
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【 2014/07/30 (水) 】 小説 | TB(-) | CM(0)
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