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【全ては完全なる描写のため】

文学フリーク達の恥ずかしいお話。



 『お前にとって”恥ずかしい”とはどういうことだ』
相変わらず難しい事聞いてくるなあ、この先輩。
 
 俺は内心で溜め息を吐きながら、作業中の手元からのろのろと顔を上げた。
俺の眼前では我らが文芸部の二年エースが真剣な目で俺を見つめていた。

『恥ずかしい、とは?』
『顔が熱くなって、穴があったら入りたくなって、重症になるといっそ死にたくなる、そんな感情だな』
『なるほど』
なるほどなんて言ってみたものの、さっぱり意味が分からない。
先輩は時々こうだ。自身の創作活動に行き詰った時こういうわけのわからない問いを、俺に投げかけてくる。
正直言って面倒くさい。

『沢山ありますよね』
『そうだな』
『どれか一つですか』
『そうだな』

先輩の言葉に俺は首を捻りつつ、脳を高速でフル回転させる。
俺の答えはこの先輩にどのような影響を与えるのだろうか。

『実現可能な範囲ですか』
『ああ、テクノブレイクとかは、最高に恥ずかしいがまだ死ぬわけにはいかないから勘弁してくれ』
分からない、先輩は俺にどんな答えを求めているのだ。

『じゃあ……、全裸で校内を練り歩く、とか』
いや、本当に思いつかないのだけれど。

『全裸……校内……』
先輩がぶつぶつと言い出した。危険だ。こういう時の先輩は何を考えているか分からない。俺が止めなくてはいけない。

 先輩がおもむろに立ち上がる。
『行くぞ、後輩よ』
そして、何と言うことだろう。yシャツを脱ぎだし始めた。

『先輩!?何やってるんですかっ』
慌てふためく俺に先輩は涼しい顔で一言。

『なあに、全裸で校内を練り歩くのだ』
意味が分からない。

『何故ですか、先輩!!今度は何が目的なんですか!!』
『いや、な。”恥ずかしい”という感情をリアルに描写するには実際に体験するしかないだろうと思ってな』
そういうことか。俺が呆然としている間にも先輩は順調に服を脱ぎ続け、とうとうトランクス一枚になってしまった。
『いやいやいや、落ち着いてくださいよっ!!それは社会的に死にますよ!!』
『まあ、リアルな心情描写のためにはそれも仕方あるまい』
慌てる俺とは対照的に先輩は表情一つ変えることなく、最後の一枚に手を伸ばす。
『うわあああああ!?』
ぎゅっと目を瞑る俺。何が悲しくて昼間から学校で先輩の裸を見なくてはいけないのか。




『…………』
物音が聞こえない。ひどく静かだ。
俺はそっと目を開く。
俺の視界いっぱいに先輩の顔。にやにやしている。トランクスはそのままだ。

『……先輩?』
『どうだった?』
にやにやと意地悪げに笑う先輩。

『どうって?』
『先輩が自分の言葉通りにストリップをし始める気分』
はい?先輩、それはどういう……?

『いやー、今回も良い執筆が出来そうだよ。君の反応が良いおかげだ』
『ちょっと先輩、どんなシーン書く気だったんですか!?』
『酔っぱらった知人が路上で脱ぎ出し、それを主人公が必死で止めるシーン。主人公の反応が難しくてな。』




ああ、またやられた!!
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【 2014/07/30 (水) 】 小説 | TB(-) | CM(0)
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