2017年10月 ≪  123456789101112131415161718192021222324252627282930 ≫ 2017年12月

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【 --/--/-- (--) 】 スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

【形無き白夜の逢瀬】

姿の無い魔王と、彼に愛された少女のお話。


 
 目が見えない。
というのは別に今始まった話ではない。私の目は生まれながらに視力を持たない。
ただ、今ふと、見えないことに嫌気が射したのだ。
今の今まで、不自由さなど感じたことは無かったのに。

 『君の目は綺麗だ。白夜の地平線のように』
そう言った貴方の目を、一度で良い、見てみたいと思ったのだ。




 『白夜ってなあに』
 『君には一生見えないものだよ』
そう言って笑う、貴方の目を見たかったのだ。

 ねえ、貴方は今、どんな目で私を見ているの?
憐み?愛しさ?それとも、嘲り?

きっと、全てがないまぜになった純白の目で、私の黒く淀んだ目を覗き込んでいるに違いない。


 『可哀想、何も見えないんだね』

 貴方は笑う。楽しそうに笑う。
私はそれがとっても嬉しくてでも悔しくて歯ぎしりする。

 『見えないよ。白夜も、貴方の目も見えない』
ねえ、世界はどうなっているの。貴方は白夜を知っているの。貴方の目は何色になって私を見ているの。

 『貴方が見えない。私には貴方の存在が視えない』
 『知っているよ。知っているから僕は君の前に現れる』
 『貴方は何者なの』
 『さあ、なんだろうね』
貴方ははぐらかすような調子で私をからかう。


もっと声を聞かせて。もっと側で囁いて。
 『私に触れて』
それしか、私には貴方を識る手段がない。
 『お願いよ、触れてちょうだい』


 貴方は私の言葉を聞こえないふりをする。決して私に貴方を教えてはくれない。


『本当に、君の目は綺麗なんだ』
ずっと遠くで、貴方の声が聞こえる。


 

 声は遠ざかって、遠ざかって、白夜の地平線に消えるのだ。
スポンサーサイト
【 2014/07/30 (水) 】 小説 | TB(-) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。